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芝理科、用土の二つの表を結ぶ

2025年度の芝中学校第1回理科は、夏休みの手伝いを描く文章から始まります。大問1の(1)で問われるのは、赤玉土、鹿沼土、腐葉土、バーミキュライトの四種類です。観察結果の表と、用土の説明A〜Dを結び、正しい組合せを選びます。

ここで誤答した答案を、すぐに「土の知識が足りない」と決めるのは早いでしょう。赤玉土の観察欄には、明るい茶色、固まった数ミリメートルの粒、やや硬いとあります。説明Aは、赤土を乾燥させ、粒の大きさをそろえたものです。腐葉土も、枯れ葉や枝が混じる観察と、落ち葉などが発酵した説明Cがつながります。

四つを一度に覚え直すより、答案で最初に切れた組合せを特定する方が先です。名前は知っていて表同士を照合できなかったのか、鹿沼土やバーミキュライトの性質を取り違えたのか。同じ誤答でも、直す一か所は違います。

オンライン個別指導で扱うなら、解説を最初から読み上げる時間にはしません。問題文、二つの表、答案を同じ画面に並べ、最初に合わなくなった一組だけを教師が確かめます。組合せの記号だけでなく、観察欄のどの語が説明につながったかが分かれば、残りを総復習する必要はありません。

芝の理科は、この一問だけでも、知識がないのか、資料を結べなかったのかで直し方が分かれます。一対一で扱うのは、理科全体ではなく、答案で対応を間違えた用土一つです。

芝中学校「2025年度中学入試結果」

第三代校長の時代から続く奉仕活動

芝の生徒会ボランティアは、最近始まった活動ではありません。第三代校長、渡邊海旭先生の時代には、すでに活動していたという記録が残っています。学校の公式サイトに、そう紹介されています。

現在の活動は、街頭での募金や地域の清掃美化だけではありません。子ども食堂や子ども会館の催し、港区のプレーパークにも参加しています。一つの行事を毎年繰り返すのではなく、学校の外へ出て、地域のいろいろな場所とかかわっているのです。

学校行事では、準備を重ねた成果が目に見えます。しかし奉仕活動は、学校を華やかに見せるためのものではないでしょう。必要な場所へ出かけ、自分たちにできる仕事を引き受ける。芝が掲げる「共生」は、校内で仲良く過ごすというだけの言葉ではないのです。

芝の学校生活には、部活動も委員会も、運動会も学園祭もあります。その中に、第三代校長の時代から続く活動が、今も形を変えながら残っている。伝統というのは、昔の話を覚えることではなく、今の生徒が自分の役割として受け取ることで続くのでしょう。

学校を見るときは、目立つ行事に目が向きます。けれど、学校の外で誰のために動いているかを見ると、その学校が大事にしているものがわかります。芝の奉仕活動は、その一つだと思います。

芝中学校・芝高等学校「楽しくなければ学校じゃない」

工場ではなく「芝浜農園」

芝は、自校の教育を工場ではなく「芝浜農園」だと表現しています。規格に沿うものを大量につくるのではなく、一人ひとりの育ち方に応じて手のかけ方を変える。その違いを、学校名の入った短い言葉にしています。

全員を同じ速さで進ませれば、管理はしやすいでしょう。しかし、早く伸びるところも、時間のかかるところも生徒によって違います。芝が掲げる「急がない。自分の歩幅で高みを目指す」という言葉は、ゆっくりでよいという慰めではありません。育ち方の違いを教育の前提に置く、という判断です。

だからといって、離れて待つわけでもありません。学校は、工夫をこらした授業や担任との個別面談で築く信頼関係を、生徒が安心して学校生活を送るための土壌としています。手のかけ方を変えるには、まず一人ひとりを見ていなければならないのです。

伸び悩みや停滞を感じるときにも、誰かがそばで支える。公式ページはそこまで書いています。結果が出ない時間を、本人の力がないと早く切り分けない。六年間という長さを、同じ型へそろえるためではなく、それぞれの変化を待つために使います。

私は、「芝浜農園」の魅力は、急がせないことだけではないと思います。必要なときに手をかけ、その方法を変えることまで含んでいる。自律を掲げながら放っておかない。その距離に、芝の男子教育の芯があります。

芝中学校・芝高等学校「芝の教育」

半年以上かけて渡す大運動会

芝の大運動会は、当日の競技だけを見ていてはわからない行事です。多くの生徒が実行委員を担い、準備にかけるのは半年以上。運動が得意な生徒だけの晴れ舞台、という置き方ではありません。

赤・白・黄・青の四軍は学年縦割りで編成されます。中学一年生から高校三年生までが同じ行事に参加し、学年ごとの競技で得点を競う。低学年には低学年の出番があり、高学年には騎馬戦のような競技があります。六つの学年が一緒でも、誰かの競技を借りて参加する形ではないのです。

そして、この大運動会をもって高校三年生は学校行事から引退します。彼らが築いてきたものは、次の実行委員へ受け継がれると学校は説明しています。半年以上かけた仕事の終わりが、後輩へ渡す場にもなっているわけです。

私は、ここに芝が課外活動をどう考えているかがよく表れていると思います。用意された競技に参加するだけなら、一日で終わります。しかし、実行委員として長く準備し、上級生から受け取り、自分たちの代をつくって次へ渡すとなると、行事は学校生活の時間そのものになります。

自主性という言葉は、自由にさせることだけを指すのではありません。任される仕事があり、それを引き継ぐ相手がいる。芝の大運動会は、生徒に役割を渡し続けることで成り立っているのです。

芝中学校・芝高等学校「楽しくなければ学校じゃない」

芝の募集要項、今わかる範囲

塾で募集要項の話をすると、「概要が出たなら、もう全部確認できますか」と聞かれることがあります。受験学年の秋ですから、早く予定を固めたくなるのは自然です。ただ、学校から出る案内は、一度にすべてがそろうとは限りません。

芝は2026年9月10日、2027年度中学入試の募集要項について、概要を公開したと発表しました。同時に、注意事項などは10月に発表する予定と案内しています。今公開されているのは「概要のみ」です。出願や試験当日までの案内が、すべて出た段階ではありません。

こういうときは、今出ている概要を読むことと、10月の発表を待つことを分けて考えるとよいでしょう。概要で確認できる内容は現時点の情報として受け取る。一方、まだ書かれていない細かな決まりを、前年と同じだろうと補わない。発表前の部分まで家庭で推測する必要はありません。

募集要項という言葉を聞くと、勉強の進め方まで急に変えたくなるご家庭もあります。けれど、注意事項がまだ発表されていないことと、過去問でどの問題を取れているかは別の話です。未公表の内容を想像して、教材を増やしたり、今の学習時間を動かしたりしなくてよいと思います。

10月に続きが発表されたら、今回の概要と並べて読みます。そのときに確かめたいのは、今まで読めなかった案内がどこに加わったかです。一度読んだつもりで済ませず、二段階で発表されていると覚えておけば十分でしょう。

芝公式「2027年度募集要項の概要を公開しました」

芝の「全ての教科が主要教科」

芝中学校・芝高等学校は、公式サイトで「全ての教科が主要教科」と掲げています。特定の教科だけを学校の特色にせず、各教科・科目がそれぞれの持ち味を生かして授業を組み立てるという考え方です。幅広く学ぶことを、知的探究の土台として位置づけています。

幅広く学び、高校2年生から文理を選ぶ

芝では、特定教科へ早くから学習を寄せるのではなく、各教科をまんべんなく学びます。そのうえで、高校2年生から一人ひとりの興味や志望に応じて文系・理系に分かれ、大学受験とその後の学習へ向けた準備に入ります。特定教科に偏らない学びを続けたうえで、自分の進む方向を選ぶ流れです。

総合・探究は5年間でつながる

総合・探究は、中学1年生から高校2年生までの5年間で構成されています。公式サイトでは、目標に「力・人・心」の三つの観点を置き、学年を横断する区分を「周囲・社会・未来」としています。中学2年生では港区や芝地区との地域連携、中学3年生では企業探究を取り入れるなど、学年が上がるにつれて学校の外へ視野を広げる内容です。

教科と学年を越える「芝漬ゼミ」

長期休暇中には、教科や学年の枠を越えて学ぶ「芝漬ゼミ」が開かれます。公式サイトには、東京慈恵会医科大学との高大連携による医療分野の講座などが例として示されています。通常の時間割とは異なる切り口から、生徒の知的好奇心を深める機会です。

「全ての教科が主要教科」という言葉は、授業の方針だけを表すものではありません。幅広い教科学習を土台に、5年間の探究と教科横断の講座を重ね、高校2年生から自分の関心や志望に沿って進路を具体化する。芝の6年間を理解するうえで、このつながりは学校固有の大切な特徴です。

芝中学校・芝高等学校公式サイト「全ての教科が主要教科」

人数の移動は合計で確かめる

芝の算数の直しをしていると、計算はできているのに、人数が途中から合わなくなる答案があります。たとえば、A組からB組へ3人移ったとき、B組には3人を足したのに、A組から3人を引いていない。あるいは、全体の人数まで3人増やしてしまう。3人が新しく加わったのか、場所を移っただけなのかが、途中で分からなくなっています。

2024年、2025年の芝の算数には、人数や回数、量の変化を順に追う問題が見られます。こうした問題では、式を続けて書くだけでなく、「何が変わったのか」を一行ずつ残しておくと整理しやすくなります。

表は「できごと」「A組」「B組」「全体」の4列で十分です。A組が20人、B組が15人で、A組からB組へ3人移ったなら、次のように書きます。

できごと A組 B組 全体
はじめ 20人 15人 35人
AからBへ3人移動 17人 18人 35人

A組は3人減り、B組は3人増えます。ただし、同じ3人が場所を移っただけですから、全体は35人のままです。もし外から3人が加わったのであれば、全体も35人から38人へ増えます。「移動」なのか「外から加わった」のかで、全体が変わるかどうかが違います。

子どもの答案を見るときは、各行の最後に全体人数を確かめます。組の間を移動しただけなのに合計が変わっていたら、その行に間違いがあります。どこか一つの数字だけを探すより、ずれた行がすぐ分かります。

直しでは、間違えた式をすぐに消さず、人数が初めてずれたところに印を付けます。その横に表を作り、「この3人は移動したのか、新しく加わったのか」を本人に確かめてもらいます。説明できたら、解説を閉じて同じ問題を解き直します。芝の過去問で人数の変化が分からなくなったときは、長い式を増やすより、出来事ごとの合計を残す方が直しやすいことがあります。

芝の前半、空欄で急がない

過去問を返すと、「後ろの問題は合っていたのに、最初で二つ落とした」という子がいます。式の立て方が分からなかったわけではありません。分数の計算で符号を見落としたり、空欄に入る数が何を表すのか確かめないまま書いたりしています。本人に聞くと、「前半は早く終えたかった」と話します。

手元で確認した芝の算数では、序盤に計算と空欄補充があり、その後に条件整理、図形、速さや水量のグラフ、規則性が続きます。問題数も比較的多いため、前半で時間を使いたくない気持ちは自然です。ただ、急いで解くことと、確かめずに書くことは少し違います。

空欄補充では、計算に入る前に「ここへ入るのは何か」を短く確かめます。人数なのか、回数なのか、長さや割合なのか。これだけで、単位を取り違えたり、途中で出た数をそのまま答えたりするミスが減る子はいます。計算なら、書いた答えの符号、分数、単位を一度だけ見る。長い見直しではなく、数秒の確認です。

塾の計算練習では、時間内に何問できたかが目に入りやすいものです。その練習が悪いわけではありません。ただ、芝の過去問に取り組むときは、「速く解く練習」だけでなく、「空欄の意味を確かめてから式を書く練習」を混ぜたほうが安定する子もいます。

前半を落としたときは、問題全体を解き直すより、原因を一言で残します。「符号」「分数」「単位」「何を答えるか」のどれだったか。次に同じ形の問題を解くとき、自分が止まる場所が分かります。全部をゆっくり読み直すのではなく、落としやすい一点だけを見る。それなら、後半へ進む時間も崩れにくいです。

番号順に解かない

芝の算数では、問題を番号順に解く必要はありません。計算、割合、図形、場合の数、速さ、規則性など、性質の違う問題が並ぶため、前から順に進むより、自分が取りやすい問題を先に見つけることが大切です。

試験が始まったら、まず全体を短く見渡します。すぐに式が立つ問題、少し考えれば進みそうな問題、手がかりが見えにくい問題に分け、最初は手が動くものから解いてください。文章が短い問題でも、場合の数や規則性のように時間がかかることがあります。番号が前だから簡単とは限りません。

一問で手が止まったら、印をつけて先へ進みます。芝は答えを書く形式ですから、難しい問題に長く粘っても、正解まで届かなければ点にはなりません。それよりも、後ろにある取れる問題を先に確保する方が得点は安定します。

過去問を解くときも、毎回同じ順番で進めるのではなく、自分がどの分野から入ると調子が出るかを確かめておきましょう。芝の算数では、全部を順番に解くことより、解く順番を自分で決める力が重要です。

図とグラフを読み違えない

芝の算数は、基本的に答えだけを書く形式です。だからこそ、途中の考え方をどこに残すかが大事になります。解答用紙には答えしか書きませんが、問題用紙の余白には、条件や図の読み取りを短く残しておく必要があります。

図とグラフが出る問題では、最初に数字を拾いにいかないことです。まず、横軸と縦軸が何を表しているかを確認します。時間なのか、高さなのか、量なのか。次に、グラフの折れ曲がりが図のどの変化にあたるのかを考えます。水の高さが変わる、入る場所が変わる、動く向きが変わるなど、折れ点には必ず意味があります。

余白に残すのは、式より対応関係

芝では、長い説明を書く必要はありません。その代わり、問題用紙の図に「ここまで」「ここから」と印をつけたり、グラフの折れ点に短く意味を書いたりすることが大切です。式を立てる前に、図とグラフの対応が合っているかを確認してください。

答えだけを書く試験では、途中で読み違えても採点者には伝わりません。自分で気づくしかありません。そのため、演習では答えを出す前に、図のどこを見ているのか、グラフのどの区間を使っているのかを必ず一度確認する習慣をつけましょう。

芝の算数では、難しいことを長く書く力より、短い時間で条件を正しく読み取り、答えに結びつける力が問われます。図とグラフは、数値を拾う前に対応を確認する。この順番を守ることが、失点を減らすポイントです。