「伝える」と「伝わる」は同じではない。海城の中学一年生が受ける安全ワークショップでは、この小さな違いを学校生活の問題として扱います。2026年度の第2回は、まさに「伝わる≠伝える」がテーマでした。
安全というと、防犯上の注意や禁止事項を覚える話になりがちです。しかし海城のワークショップが考えるのは、学校や登下校の時間を、互いに安心して過ごすにはどう関わればよいかということです。防犯活動の専門家、演出家、俳優を講師に招き、学校はこれを「快適を作るためのコミュニケーション」と説明しています。
俳優の芝居には、本人は挨拶をしたつもりでも相手には届いていない、といった場面が置かれました。同じ言葉や行動でも、受け取り方は一つではありません。説明を聞いて正解を覚えるのではなく、場面を見て意見を交わすところに、この授業の特徴があります。
後半には、三人組のうち二人が目を閉じ、一人が周囲を確かめながら案内する活動もありました。安全に動くには、案内する側が話しただけでは足りません。相手がどう受け取ったかまで確かめて、初めて三人が動けます。抽象的な「思いやり」を、身体を使う場面まで下ろしているのです。
海城は、演劇の手法を中一の安全ワークショップだけでなく、中二・中三のコミュニケーション授業にも取り入れています。安全教育を一度の注意で終わらせず、立場を替えて考える練習へつなぐ。ここに、対話を学校生活の中で育てようとする海城の考えが表れています。
