海城理科、室温二十度を条件に戻す

同じ電圧で、同じ時間だけ水を温める。それなら上がる温度も同じ、と考えたくなります。2026年度一般入試①の海城理科は、電熱線を扱う大問の最後で、その考えを一度止めました。

問5では、室温二十度の部屋で、三十度のコップと水を五ボルトで千秒間加熱すると三十四度になりました。電熱線が発した熱のすべてを受け取る理想の場合と比べ、コップと水が得た熱は八十%です。ここまでは、周囲へ逃げた熱を数字にする問題でした。

続く問6では、電圧も時間も室温も変えず、初めの温度だけを十度にします。電熱線による上昇だけなら四度ですから、答えは十四度に見える。しかしコップと水は、今度は室温二十度より冷たい。空気へ熱を渡す側ではなく、空気からも熱を受け取る側になります。

公式解答は「十四度より高い」。理由の空欄は、問5では空気から「熱をうばわれる」のに対し、問6では「熱を得られる」です。覚えた公式が増えたわけではありません。初めの温度が室温をまたぐと、周囲との熱の移動が逆になる。その一つの違いを、前の実験結果へ戻して考えます。

私は、この結びが海城らしいと思います。計算で十四度を出したところが終点ではない。大問の初めから積み上げた関係を使いながら、最後に現実の条件を戻す。数字が合っていても、室温二十度を置き忘れると答えは変わります。

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