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本郷の手帳は予定表で終わらない

本郷では、生徒一人ひとりが学校独自の手帳を使います。単に授業や提出日の予定を書いておく道具として紹介されているわけではありません。毎日の生活を自分で管理し、日々を振り返りながら先の時間を考えるためのものです。

本郷が掲げる三つの教育方針の一つに「生活習慣の確立」があります。規則正しい生活を心身の成長と結びつけ、学校生活の中で生活のリズムを作っていく。その考えを、毎日使う手帳にまで落とし込んでいます。

学校が決めた時間割に従うだけなら、予定は学校から伝えれば済みます。しかし本郷の手帳は、生徒本人が日々を振り返り、この先を考えるために使われます。何に時間を使ったのか、明日はどうするのか。自分の時間を自分で扱うところに、この手帳の役割があります。

本郷は「自主自立の姿勢を培う6年間」を掲げています。ただ自由に任せることと、自分で生活を整えられることは同じではありません。自己管理を言葉で求めるだけでなく、毎日使える具体的な道具を用意している。ここは、本郷の教育を考えるうえで見落としたくないところです。

学校の魅力は、特別な行事だけに表れるものではありません。今日を振り返り、明日の使い方を考えることを日常に置く。本郷は、自立を言葉だけで生徒に求めているのではないのです。

本郷中学校・高等学校「本郷の教育方針」

本郷の国語、記述は言葉をつなぐだけではない

本郷の国語は、記述問題で独創的な発想や華やかな表現を求めているわけではありません。学校が明記しているのは、設問の意図と要求を正確につかみ、本文から必要な部分を選び、問いに合う形へ編集して言い換える力です。

この方針は、2026年度入試の数字にも表れています。本郷は三回分の国語について、設問ごとの答案件数を○と△に分けて公表しました。第1回の10点記述は○が13件、△が426件。第2回の12点記述は○69件、△943件でした。

ただ、△が多いことだけで「惜しかった」と片づける話ではありません。学校が公表する実施結果には、合格者の答案は記述を最初からあきらめず、少なくとも部分点を得る傾向があったとあります。その一方で、本文の言葉を抜き出してつないだ答案と、自分なりにまとめた答案では得点に差がつきました。

ここで問われているのは、本文中の正しそうな一文を探すことではない。必要な材料は本文にあっても、そのままでは問いの答えになりません。何を聞かれているかによって、残す言葉と外す言葉が変わり、つなぎ方も変わります。

記述欄の長さは、思いついたことを自由に書くための余白ではありません。本文の材料を、設問に届く一つの答えへ作り替える場所です。本郷の国語が見ているのは、書く量より、その編集です。

本郷中学校・高等学校「入試問題の作問基本方針と昨年実施結果について」/「2026年 正答数(国語)」

週一回、一対一で話す英語

本郷では中学三年になると、英語の授業に週一回の一対一が加わります。オンラインで、相手はネイティブスピーカーです。大勢の中で順番を待つのではなく、自分が話す時間を引き受ける。その授業は高校一年まで二年間続きます。

ただ、突然一対一へ移るわけではありません。本郷は中学一年から高校一年まで、ネイティブスピーカーによる授業をクラス二分割で行います。発言の機会を増やす少人数授業を四年間置き、その途中の中三・高一にマンツーマンを重ねています。

学校の英語科は、教室での授業とネイティブ教員による英会話を、中学課程の二本柱と説明しています。各学年に応じたスピーチコンテストや、本郷独自の単語試験もある。話す時間だけを増やし、語彙や読解を後回しにする組み立てではありません。

私は、中三と高一の重なりに意味があると思います。中学の仕上げで一対一を始め、高校課程へ移ってもすぐに終わらせない。進級をまたいで同じ話す場を続けることで、英語を一度の行事にしないのです。

英語は、知っているだけでは口から出ません。本郷が用意するのは、クラスを半分にする授業と、一人で向き合う週一回。その両方が重なる二年間に、英語を使う側へ移るための設計が見えます。

本郷中学校・高等学校「6年間一貫教育体制」/「英語」

一年かけて書く中学三年の卒業論文

夏休みに提出するのは、完成した論文ではありません。本郷では中学三年生が約一年をかけて卒業論文を書きます。夏の原稿は、その途中にある初稿です。

一学期に担任と相談しながらテーマを決め、夏休み中に初稿を書き上げます。返ってきた添削をもとに、冬休み中に清書し、三学期の初めに最終提出。一つの文章が、三つの季節を通って形になります。

長く書けばよいわけでもありません。学校は「執筆要項」を配り、引用の方法や注の付け方まで細かく示しています。調べた内容と自分の考えを分け、初めて読む人にも伝わるように組み立てる。好きなことを紹介する作文とは、そこで違ってきます。

優秀作は表彰され、学校紀要の「塔影」に掲載されます。ただ、私は賞より、初稿が一度返されるところに意味があると思います。最初に書いたものを完成品にせず、指摘を受けて冬に書き直す。自分で選んだテーマだからこそ、うまく伝わらない部分から逃げずに向き合う時間になります。

十五歳の関心が、そのまま将来の進路になるとは限りません。それでも、問いを一つ選び、調べ、書き直し、他人へ届く形にする経験は残ります。中学三年の終わりに本郷が置いているのは、知識の量を測る試験ではなく、自分の関心を一つの論文にする一年です。

本郷中学校・高等学校「卒業論文(中学3年次)」

中学一年は全員、部活動から始める

本郷では、中学一年生は入学後に必ず部活動に入ります。得意な競技がある生徒だけの話ではありません。まず一度、仲間と活動する側に立つところから中学校生活が始まります。

二年生以降は必修ではありません。それでも学校公式のQ&Aでは、中学生の加入率は98%です。最初の一年だけ形を整える制度ではなく、多くの生徒がその後も部活動を続けています。

ただ、本郷の「文武両道」は、長く練習すればよいという考えではありません。中学生の活動は週三日、一回二時間以内。学校は、限られた時間で努力し成果を求めることが、勉強での集中や時間の使い方にもつながると説明しています。

時間に上限があるから、部活動と勉強は別々のものではなくなります。今日は何をするのかを決め、仲間の中で自分の役割を引き受け、終われば次の時間へ移る。本郷が部活動に期待しているのは、成績や大会結果だけではありません。

入学した全員に、まず部活動を経験させる。そして二年生からは必修にしない。この順番に、本郷が考える自立の入口が見えます。

本郷中学校・高等学校「本郷の教育方針」/公式Q&A

本郷、三回分の実物過去問を限定販売

本郷の公式サイトには、2026年度第1回の4教科の問題と解答例がPDFで公開されています。さらに今年は、第1回から第3回までの実物をまとめたセットも用意されました。

セットに入るのは、国語・算数・社会・理科の問題冊子と解答用紙です。模範解答、正答率、各教科の講評も一冊にまとめられています。PDFで公開されている問題は第1回ですが、販売分には三回分が入ります。

販売対象は小学6年生です。300セット限定、1世帯1セットで、価格は1000円。miraicompassで申し込み、受付票と引き換えに本郷祭当日の9月26日か27日に学校で受け取る形です。支払いは現金だけです。

受付は9月5日に始まっています。ただ、学校の案内から現在の残数までは分かりません。9月25日の時点で、今から購入できるとは案内できないところです。

本郷の公式サイトでは、第1回の問題PDFに加え、第1回から第3回までの教科別正答数も公開されています。今回の販売分には、実際の問題冊子と解答用紙、教科講評まで入ります。公式サイトで確認できる資料と、学校で受け取る実物では、含まれる範囲が違うということです。

本郷中学校・高等学校「中学校入試問題実物の販売について」

本郷オープンキャンパスの選び方

「子どもは部活動に参加したい。でも親としては授業も見てみたい」。オープンキャンパスを前にすると、親子で希望が分かれることがあります。本郷では2026年10月3日(土)に、体験授業や体験入部などを行うオープンキャンパスが予定されています。予約開始は9月12日(土)午前8時30分の予定です。事前予約制で、予約した家庭だけが来校できます。

開催時間は午後2時から午後4時までです。選べるのは「体験入部」「体験授業」「本郷の生徒による過去問解説授業」の三つ。ただし、会場で三つを順番に回る催しではありません。参加できるのは一つだけで、複数には申し込めません。

予約前に親子で話しておきたいのは、今回の来校で何を知りたいかです。本郷の生徒と一緒に部活動を体験し、普段の学校生活に近い時間を過ごしてみたいなら体験入部。本郷の教員による授業を実際に受けてみたいなら体験授業です。過去問について、本郷の生徒による説明を聞いてみたいなら過去問解説授業が候補になります。

塾で子どもたちを見ていると、親子で選びたいものが違うのは珍しくありません。どちらの希望が正しいと決めるより、「帰り道にどんな話ができたら、参加してよかったと思えそうか」と考えると選びやすくなります。学校生活の話なのか、授業の感想なのか、入試問題の話なのか。ここが見えると、一つに絞りやすくなります。

三つの体験に優劣はなく、参加と合否の関係も公式発表には示されていません。希望する内容を予約前に決めたうえで、9月12日(土)午前8時30分の開始予定を確認してください。申込みと当日の最新情報は、本郷中学校の公式発表ページで確認できます。

会話問題はわかったことだけ書く

会話形式の算数を解いている子を見ていると、同じところを何度も読み直していることがあります。登場する人の発言を全部覚えようとして、途中で前の話がわからなくなる。すると、また会話の初めに戻ります。読んでいる時間は長いのに、余白には何も残っていません。

本郷中学校の2023年から2025年の算数では、会話形式の問題が見られます。とくに2025年は、会話から条件を整理する問題が目立ちました。問題文が長くなると、頭の中だけで話を追うのは苦しくなります。

こうした問題では、一つの発言から数や関係がわかったところで、いったん読むのを止めます。そして余白に「AはBより2多い」のように、わかったことだけを短く書きます。発言をそのまま写す必要はありません。誰が何番目に話したかも、全部覚えなくてかまいません。

一つ書いたら、次の発言へ進みます。そこで新しくわかったことを、メモに足します。表にしたほうが見やすければ、表へ移してもよいでしょう。会話を最後まで読んでからまとめるのではなく、一つわかるたびに手元へ残します。

読んだ時点では、意味がわからない発言もあります。その場で無理に式を作ろうとすると、そこで手が止まります。印だけつけて先を読み、後の発言を読んでから戻ると、わかることもあります。

過去問を解き直すときは、正解したかだけでなく、会話の初めへ何度戻ったかも見てみてください。何度も戻っているなら、計算ではなく読み方で困っているのかもしれません。「一つわかったら、一つ書く」。その動作だけに絞ってやり直すと、どこで話がわからなくなったのかも見つけやすくなります。

個別の添削や指導が必要な場合は、邦学館 個別ワークスをご利用ください。

グラフ問題の注意点

本郷のグラフ問題でまず大事なのは、数字を読む前に、何のグラフかを先に決めることです。縦軸と横軸が何を表しているか、単位は何か、どこで増え方が変わるかを先に確認します。ここを飛ばすと、数は合っていても意味がずれます。

グラフが出たら、点を打つだけで終わらせず、変化点に小さな印をつけます。折れ線なら、どこから傾きが変わるか。棒グラフなら、どの区間を比べるのか。問題文の数字をそのまま追うより、どの区間を読む問題かを先に見る方が安全です。

表と一緒に出るときは、表の数をそのまま写す前に、行と列の意味をそろえます。表の数字とグラフの数字がずれると、後の小問で使えません。本郷では、条件を図に移してから使う方が、後半まで崩れにくいです。

個別の添削や指導が必要な場合は、邦学館 個別ワークスをご利用ください。

条件を図に戻す

本郷の算数で先に決めること

本郷の算数は、計算だけで終わる構成ではありません。50分100点の中で、前半の小問で基本を取りつつ、後半は長めの条件文、グラフ、会話形式、立体へ進みます。だから大事なのは、式を急ぐ前に、条件を図や表に戻すことです。

長い文章は、そのまま読んでも解けません。人、もの、時間、距離、回数に分けて余白へ置く。次に、どの量が動くのかを見て、矢印や印をそろえる。本郷ではこの整理ができないと、正しい計算をしても最後でずれます。

図形は、見える線だけで答えを作らないことです。底辺、軸、基点を先に決め、対応する点は同じ記号でそろえる。展開図や立体では、移動前後の位置を同じ見方で置き直す。線を増やすより、何をどの順で見たかを残す方が大事です。

グラフや表も同じです。まず軸と単位を確認し、折れ点や変化の切れ目が何を示すかを見る。数字を拾うだけでなく、どの量が増え、どの量が止まり、どこで関係が変わったかを押さえる。本郷はここを見ています。

会話形式の問題は、言葉のやりとりを追うより、確定した条件だけを表に落とす方が速いです。途中で迷ったら、そのページで条件を並べ直してから戻る。保留を付けて次へ進む判断も必要です。

本郷では、前半で条件を落とさず、後半で図表に戻し切れるかが分かれ目になります。描線の細かさより、答案上で条件の置き方をそろえること。個別で図や表の置き方を詰める場面では個別ワークスが向いています。塾の速さとずれるときは、まず本人の整理の型を直してください。