本郷の国語は、記述問題で独創的な発想や華やかな表現を求めているわけではありません。学校が明記しているのは、設問の意図と要求を正確につかみ、本文から必要な部分を選び、問いに合う形へ編集して言い換える力です。
この方針は、2026年度入試の数字にも表れています。本郷は三回分の国語について、設問ごとの答案件数を○と△に分けて公表しました。第1回の10点記述は○が13件、△が426件。第2回の12点記述は○69件、△943件でした。
ただ、△が多いことだけで「惜しかった」と片づける話ではありません。学校が公表する実施結果には、合格者の答案は記述を最初からあきらめず、少なくとも部分点を得る傾向があったとあります。その一方で、本文の言葉を抜き出してつないだ答案と、自分なりにまとめた答案では得点に差がつきました。
ここで問われているのは、本文中の正しそうな一文を探すことではない。必要な材料は本文にあっても、そのままでは問いの答えになりません。何を聞かれているかによって、残す言葉と外す言葉が変わり、つなぎ方も変わります。
記述欄の長さは、思いついたことを自由に書くための余白ではありません。本文の材料を、設問に届く一つの答えへ作り替える場所です。本郷の国語が見ているのは、書く量より、その編集です。
