塾の算数では、どうしても速さが求められます。限られた時間で多くの問題を解き、テストでも早く正確に答えを出す。もちろん、それは大事な力です。
ただ、豊島岡学園を考える場合、速く解けることだけで安心してよいわけではありません。問題を次々にこなしていても、条件を読み落とす。図や式が雑になる。答えは合っているのに、なぜそう考えたのか説明できない。そういう状態のまま進むと、学校別の問題に入ったときに噛み合わなくなることがあります。
ていねいさは、遅いことではない
ここでいう「ていねいさ」は、ゆっくり解くという意味ではありません。問題文の条件を確認する。図に必要な情報を書き込む。式が何を求めているのか分かるように残す。そうした基本動作を飛ばさないことです。
算数ができる子ほど、途中を省略して一気に答えまで進もうとします。それでうまくいく問題もありますが、条件が少し複雑になると、途中でずれたことに気づかないまま答えを出してしまうことがあります。
豊島岡を考えるなら、速く処理する力と同時に、考え方を崩さず進める力を育てておきたいところです。
家庭で見るのは、答えより手元
家庭でまず見てほしいのは、正解したかどうかだけではありません。子どもの手元です。
図に条件を書き込んでいるか。問題文の大事な言葉に印をつけているか。式が途中で飛んでいないか。間違えたときに、どこで崩れたのか自分でたどれるか。こうしたところを見ると、勉強がていねいになっているかどうかが分かります。
答え合わせで丸がつくと、ついそのまま次へ進みたくなります。しかし、丸がついた問題でも、解き方が雑なままなら、次に同じような問題で落とすかもしれません。逆に、間違えていても、途中の考え方が整理されていれば、直す場所ははっきりします。
間違いを一つだけ直す
ていねいな勉強に変えるために、長時間の反省は必要ありません。間違えた問題について、一つだけ原因を確認してください。
条件を読み落としたのか。図に書き込まなかったのか。計算の途中で雑になったのか。式の意味を確認しないまま進んだのか。原因を一つに絞ると、次に気をつけることが明確になります。
「もっと気をつけなさい」では、子どもは変わりません。「次はここに条件を書こう」「この式の意味だけ確認しよう」と、直す場所を小さくすることが大事です。
塾の速さに流されすぎない
塾のペースについていくことは大切です。ただ、速く終わらせることだけが目的になると、算数の勉強は荒くなります。
一週間に一度でもよいので、時間を少し緩めて、一問をていねいに直す時間を作ってください。解き方を説明させる。図や式を見直す。どこで条件を使ったのか確認する。それだけでも、問題への向き合い方は変わります。
親が解き方を全部教える必要はありません。むしろ、「ここは何を求めている式?」「この条件は図のどこにある?」と聞くだけで十分です。子どもが自分の考えをたどれるようになることが、ていねいな勉強につながります。
豊島岡に向けて大事にしたいこと
豊島岡の算数に向けて、速さを否定する必要はありません。時間内に解き切る力は当然必要です。ただ、その前提として、読み落とさない、図を雑にしない、式の意味を見失わないという基本が崩れていないかを見てください。
速く解けることと、雑に解くことは違います。家庭では、点数だけでなく、子どもがどのように解いているかを見ることが大切です。
速さよりもていねいさ。まずそこを整えることで、塾の勉強も学校別対策も、より確かなものになっていきます。