豊島岡志望、指示待ちから抜け出す最初の一手

塾の宿題はきちんとやっている。授業もまじめに受けている。けれど、終わった後に「次は何をする?」と聞くと、なかなか答えが返ってこない。

豊島岡学園を志望するご家庭で、こういう不安を感じることはあると思います。成績が悪いわけではない。むしろ、与えられた課題はちゃんとこなしている。それでも、いつまでも塾の指示待ちのままでよいのか、という心配です。

指示通りにやる力だけでは足りない

塾のカリキュラムに沿って勉強することは大事です。特に6年生になると、やるべきことは多く、宿題や復習をきちんと回すだけでも相当な力が必要になります。

ただ、豊島岡を目指すのであれば、もう一歩先を見ておきたいところです。

言われたことを正確にやる力はもちろん必要です。しかし、入試でも、入学後の学校生活でも、「自分で状況を見て、次に何をするかを考える力」が問われます。

これは、急に身につくものではありません。

「今日、何を先にやるか」

「この問題はどこで間違えたのか」

「次に同じような問題が出たら、何に気をつけるか」

そういう小さな判断を、日々の勉強の中で少しずつ本人に戻していく必要があります。

まず、親が決めすぎない

指示待ちの子を自走させようとするとき、最初に気をつけたいのは、親が決めすぎないことです。

「今日はこれをやりなさい」

「次はこの問題集」

「間違えたところをもう一回」

もちろん、親が言えば勉強は進みます。しかし、それを続けていると、子どもは自分で判断する必要がなくなります。

だから、最初の一手は大きな改革ではありません。

まず、選ばせることです。

たとえば宿題が終わった後に、親が三つも四つも課題を出すのではなく、二つだけ選択肢を出します。

「計算の直しを先にするか、国語の記述を一問見直すか、どちらにする?」

この程度でよいのです。

大事なのは、子どもが自分で選び、その理由を少し言えるようにすることです。

家庭で見るのは、点数よりも動き方

豊島岡を目指すからといって、家庭で難しいことを特別にやる必要はありません。

むしろ、まず見るべきなのは、日々の勉強の動き方です。

机に向かうまでに時間がかかるのか。始めれば集中できるのか。間違えた問題をそのままにしていないか。解説を読んだ後、自分の言葉で説明できるか。

こういうところに、その子の学習の型が出ます。

たとえば、宿題は終わっているけれど、間違い直しが雑な子は少なくありません。丸つけをして、赤で答えを書いて、それで終わり。これでは、次に同じ問題が出てもまた間違えます。

そこで親がやるべきことは、長い説教ではありません。

「この問題は、どこで間違えたの?」

「次に出たら、最初に何を見る?」

この二つを聞くだけで十分です。

答えられなければ、まだ自分の間違いを見ていないということです。そこから直せばよいのです。

説明させると、理解の浅さが見える

自走できる子は、自分の勉強をある程度説明できます。

「今日は何をやったか」

「どこができなかったか」

「明日は何を直すか」

この三つが短く言えれば、かなり学習は整理されています。

逆に、塾の宿題はやっているのに、何を勉強したのか本人が説明できない場合は、少し注意が必要です。ただ作業として進めているだけになっているかもしれません。

算数なら、解き方を最初から最後まで説明させる必要はありません。

「この問題は何を求める問題だったの?」

「最初にどこを見たの?」

「なぜその式にしたの?」

このくらいでよいでしょう。

国語なら、記述の答えについて、

「どの部分を根拠にしたの?」

「聞かれていることに答えている?」

と確認する。

説明させると、理解しているところと、何となく済ませているところがはっきりします。

自走は、いきなり任せることではない

ここで誤解してはいけないのは、自走とは「全部本人に任せる」という意味ではない、ということです。

まだ小学生ですから、最初から学習計画を一人で立てられるわけではありません。むしろ、完全に任せてしまえば、やりやすいものだけやる、面倒なものを後回しにする、ということも起こります。

ですから、親の役割は残ります。

ただし、解き方を教える人、細かく管理する人になる必要はありません。

親は、選択肢を少し絞る。始めるきっかけを作る。終わった後に短く確認する。その程度でよいのです。

たとえば、今日の勉強の最後に、子ども自身に一行だけ書かせます。

「今日できるようになったこと」

「明日もう一度やること」

このどちらかでかまいません。

それを続けるだけでも、子どもは自分の勉強を外から見る習慣がついていきます。

最初の一手は、小さな決定を本人に戻すこと

豊島岡を目指すからといって、特別な教材を増やすことばかり考える必要はありません。

もちろん、知識も演習量も必要です。塾の課題も大事です。けれど、それをただこなすだけで終わらせないことが大切です。

今日の勉強で、何を先にやるか。

間違えた問題を、どう直すか。

次に同じ失敗をしないために、何を気をつけるか。

こうした小さな決定を、少しずつ本人に戻していく。

これが、指示待ちから抜け出す最初の一手です。

塾の指示を守ることは大事です。ただ、それだけではなく、自分で課題を見つけ、自分で説明し、次の行動を決める。その力がついてくると、勉強の質は変わります。

豊島岡学園を志望するなら、点数だけでなく、日々の勉強の中で「自分で動く力」が育っているかを見てください。

親が全部を引き受ける必要はありません。今日の一問、今日の直し、今日の次の課題。その中で、ほんの少しだけ本人に決めさせる。

そこから、受け身の勉強は少しずつ変わっていきます。