応用力を鍛えるには

豊島岡の算数で必要になる応用力は、難問をたくさん解いたから自然に身につくものではありません。大事なのは、問題文に書かれている条件を整理し、自分で図や表に直し、解ける形に持っていく力です。

応用問題というと、特別なひらめきや高度な解法が必要だと思われがちです。しかし実際には、最初から式が見える問題ばかりではありません。文章を読み、条件を拾い、図に書き込み、表を作り、比を置き、場合を分ける。そうした作業を通して、少しずつ問題の形を見えるようにしていくことが求められます。

豊島岡の算数では、規則性、速さ、図形、立体、場合の数などで、この力が問われやすくなります。どの単元であっても、共通しているのは「知っている解法をそのまま当てはめるだけでは足りない」という点です。見たことのある形に似ていても、条件が少し変わると処理の仕方も変わります。そこで必要になるのが、問題を自分の手で整理する習慣です。

たとえば、規則性の問題では、いきなり公式を探すのではなく、まずいくつか実際に書き出します。数の増え方、くり返し方、前の数との関係を見てから、式にしていく。速さの問題では、動きを頭の中だけで追わず、時間、距離、向き、出発点を表や線分図に残します。図形では、わかっている長さや角度、面積比を図に書き込み、どこを比べればよいのかをはっきりさせます。立体では、見えている面だけで判断せず、切断面や対応する辺を紙の上に確認していきます。

つまり、応用力とは「難しい式を思いつく力」ではなく、「ばらばらに見える条件を整理して、使える形に変える力」です。この力を鍛えるには、問題を解いた後の振り返りが欠かせません。答えが合ったかどうかだけで終わらせず、どの条件を使ったのか、どこで図を書いたのか、なぜその表を作ったのかを確認します。

特に大切なのは、解説を読んだ後の扱いです。解説を読めばわかった気になりますが、それだけでは次に同じような問題が出たときに使えません。もう一度、白紙の状態から図や表を作り直してみる。式だけを覚えるのではなく、解き始める前の整理を再現する。この練習を重ねることで、初見の問題にも対応しやすくなります。

また、応用力を鍛える段階では、最初から極端な難問ばかりに手を出す必要はありません。標準問題より少し上の問題を使い、条件を図に入れる、表を作る、場合を分ける、比を置く、といった作業を丁寧にくり返す方が効果的です。解けなかった問題についても、「計算ができなかった」のか、「図が書けなかった」のか、「条件を使い忘れた」のかを分けて考えます。

豊島岡を目指す学習では、正解までの速さだけを追いかけすぎないことが大切です。速く解く力は必要ですが、その前に、条件を落とさず整理できることが土台になります。応用問題に強い子は、最初から答えが見えているのではなく、手を動かしながら答えに近づいていきます。

豊島岡の算数対策では、難問演習の量を増やす前に、まず「整理して考える」練習を積み重ねることです。問題文を読み、図や表に置き換え、条件を使い切る。その習慣が、応用力を支えるいちばん大きな力になります。