毎朝五分の運針が教えること

豊島岡女子学園では、毎朝五分間の運針を続けます。一枚の布に一本の針を通す。華やかな活動ではありませんが、それを毎朝繰り返すところに、この学校の考え方がよく表れています。

豊島岡が掲げる教育方針の一つは「勤勉努力」です。日々の学習やクラブ活動を通して、真面目に努力を積み重ねることを目標にしています。ただ、その言葉を聞くだけでは、子どもにとっては少し遠い。毎朝、実際に手を動かすことで、学校の方針が生活の中の習慣になります。

運針で大事にされているのは、裁縫の上手さだけではありません。学校は、三年または六年の間続け、入学当初の自分と現在の自分を比べることで、地味な努力を積み重ねる大切さを体得すると説明しています。一日分だけなら、変化はほとんど分からない。しかし、長い時間を置いて振り返れば、自分の手が重ねてきたものが見えてきます。昨日と今日の差ではなく、入学した頃の自分と比べるのです。

六年間には試験も行事もあり、目につきやすい成果はいくつも出てきます。それでも毎朝の五分を続ける。結果が出た日だけを評価するのではなく、何も起きない日に重ねたことも教育にする。そこに豊島岡らしさがあります。運針は、学校が生徒の成長を長い目で捉えていることを伝える習慣です。

豊島岡女子学園「教育方針」